愛犬とつながる勇気!〜アドラー流ペットシッター〜

15年間でのべ5,000頭以上の犬のお世話をしてきたペットシッター。アドラーの考え方をベースに動物に接することで動物達と「相互信頼」「相互尊敬」を大切にしています。

犬の皮膚病の代表例

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■アレルギー性皮膚炎
皮膚病の中で特に多いと言われている「アレルギー性皮膚炎」について説明します。ペットに次に示すような症状が見られたら、皮膚病だと考えられるため動物病院へ行ってください。

・犬の目や耳の周り、ワキの下、腹部の皮膚に赤みが見られる。
・犬が突然激しく痒がる。
・犬がかきすぎて脱毛する。
・犬がかきすぎて皮膚がただれ、かさぶたができる。

 

アレルギー源により皮膚に炎症を起こす病気が「アレルギー性皮膚炎」です。原因としては、食品、花粉、ホコリ、ダニ、カビ、金属、芝などがあります。有害物質でないものも、犬の体内に入って、体が防御反応として起こることがあります。さらに外耳炎も引き起こす確率が高いです。

 

ペットのためにできる予防策。

・アレルギー源の物質を特定すること。
・原因物質が見つけられたら、ペットから極力遠ざけるようにすること。
・特に周囲に原因が見当たらないときには、食品の可能性もあるためペットフードを変えてみること。

 

食品アレルギーは若い犬に起こりやすい病気です。食べ物に入っているたんぱく質に反応しているので、たんぱく質がない食べ物にして1ヶ月から2ヶ月くらい様子を見るといいです。症状がこれで治まっていくなら、原因は食品だったことがわかります。

 

アトピー性皮膚炎は、3歳以下の犬で発症します。強い痒みがあります。目や口の周り、お腹、指の間などの部位に出ます。細菌に二次感染することでさらに痒みが激しくなることもあります。慢性化してしまうと、色素沈着、苔癬化などを起こします。

 

■アトピー性皮膚炎

犬の皮膚病で最も多いのがアレルギー性皮膚炎。アトピー性皮膚炎はその中でも大きな割合を占める皮膚病です。つまり犬の皮膚病で最も多いのが、アトピー性皮膚炎になります。

 

3つの原因。
・遺伝性・・・柴犬、シー・ズーなどがなりやすい犬種。
・アレルギー体質。
・皮膚のバリア機能不全。

 

体の中の水分を保持するためにバリア機能は大切です。これが弱いペットは体の中にダニやカビといったアレルギー源が入りやすくなります。生まれつきながら皮膚の弱い犬の場合、機能不全が起こりやすいです。生まれつき持って生まれた体質が大きな要因なので、完治は難しいです。しかし症状を軽減してあげることはできます。

・飼育環境を清潔に維持する。
・シャンプーをこまめにする。
・食事内容に注意する。
・病院で治療をする。
病院での治療にはいろんな方法があるため、専門医と飼い主が相談して治療方針を決めます。

 

・ステロイド剤。
即効性があり90%近い有効性もあります。しかし長期服用は副作用があります。

 

・インターフェロン。
注射によって体質改善、免疫をつけることで、70%近い有効性があります。副作用はなし。治療費が高いです。

 

・免疫抑制剤の使用。
「シクロスポリン」で痒みを抑えます。ステロイドではないため、即効性はないのですがゆっくりと効果はあります。投与初期に副作用があります。

 

・減感作療法。
痒みの原因である抗原を注射します。犬に抵抗力をつけて治療します。抗原が簡単には見つからない、治療が長期化するというデメリットがあります。

 

・抗ヒスタミン。
季節性のものならば、ある程度予防効果があります。

 

アトピー性皮膚炎は、ペットも飼い主もずっとつきあっていかなければいけない病気です。完治しない皮膚病のため、いかにしてペットの症状を和らげてあげるかがポイントとなります。

 

■ノミアレルギー

「ノミアレルギー」はアレルギー性皮膚炎の仲間です。犬が体をノミに噛まれて、ノミの唾液内のアレルギーに反応して起こる皮膚病です。ノミの唾液にはたんぱく質が入っているので、反応するのです。アレルギー体質の犬は、1匹に噛まれただけでも症状がひどくなることもあります。

 

「原因」。
ノミが犬の体に寄生して吸血することで起こる。

 

「症状」。
・犬の背中、腹部、足の付け根、後ろ足に現れる。
・赤い発疹、腫れ。
・激しい痒み。
・脱毛、皮膚の炎症。
犬が自分で部位を噛み、ひっかき、なめることで皮膚に損傷を受けることもあります。ペットにこうした症状がでたら、ペットの毛を分けて皮膚を見てください。黒い粉っぽいものがたくさん皮膚についていると思います。これはノミの糞です。

 

「治療方法」。
ステロイド剤を使う治療法が一般的です。しかしいくら薬を使っても、ノミを犬の体から撲滅しなければ皮膚病が完治することはありません。ノミは犬に寄生しながら、1日に20個近い卵を産んでいます。つまり日に日にペットの体でノミが増え続けていくというわけです。

 

ノミを駆除するには、ノミ駆除剤を使うのがいいです。スプレータイプ、スポットタイプがおすすめです。一般的なお店の商品では、ノミ除け効果のある薬が多いです。ノミの駆除効果がある薬をきちんと使うようにしてください。病院では、飲み薬も処方します。犬の首の後ろに滴下することで、ノミを寄せ付けないようにする薬もあります。ノミが多くなる時期にはこうした薬で予防するのも効果があります。

 

■毛包虫症

犬の体には「ニキビダニ」という寄生虫が皮膚の毛穴に住んでいます。皮膚病の犬だけではなく、健康な犬にもいるのです。ニキビダニが突然異常繁殖することで、毛包虫症になります。普段はニキビダニが体にいてもなんの症状もないのに、発症した途端にいろんな症状が現れます。

 

「症状」。
・頭、前足に症状がよく見られます。
・脱毛・・・局部、全身脱毛。
・皮膚に赤み、発疹。
・皮膚表面にフケのようなものが出る。
・皮膚が厚ぼったくなる。
・皮膚が黒ずむ。
・痒みはあまりない。

 

「原因」。
はっきりしたことはいまだにわかっていません。ニキビダニが体にいるから皮膚病になったわけではありません。ストレスを感じて犬の免疫力が落ちたとか、高齢犬になったためバリア機能不全により皮膚病になったということが考えられます。他の犬、ペットにうつる皮膚病ではありません。

 

「治療」。
即効性のある方法はありません。数ヶ月かけてニキビダニを倒していきます。ペットと飼い主、医師との連携が大切です。

皮膚の穴の深い部分にいるダニをやっつけるため、皮膚の角質をシャンプーで溶かします。犬の毛を刈って、角質を溶かした後に症状のある部分に薄めたアミトラズを塗布します。11回内服薬を飲み、1週間に1度の注射。

毛包虫症は放置すると、皮膚がただれる、膿皮症などが悪化することもあります。あるいは毛包虫症自体が他の病気が原因となって起こったことも考えられます。決して放置しないでください。